ギャザーフリルを描いてみる-フリルの描き方を実際の写真から作りを見てみよう!

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服の描き方

 強弱のあるうねりで可愛らしいギャザーフリル。長年縫製の仕事でフリルも沢山作った経験から、どうせなら根元の造りから観察して考えてみよう!と思い至り、注目した点をまとめて記事にしました!フリルの解像度が上がりイラストにお役に立てればと思います!

 こちらの解説はギャザーフリルの出来かたを理解し「作図」することを目的としています。静止した状態のフリルとなるのでご了承ください。

ギャザーフリルを描く

 今回参考としたギャザーフリルの形は以下のイラストのとおりです。

 袖山に挟み込まれ、フリルのうねりが自然な形になるようこだわって描きました。描いた際に気を付けていた点は次のとおりです。

気を付けていた点
  • ギャザーが均等に出ているか
  • フレアの出方が揃っているか
  • 「し」「J」といったシワの長さ

 以上、順を追って解説したいと思いますが、その前にフリルについて少し説明いたします。

 フリルは服や鞄といった雑貨品のデザインの中で「フリルを取り付ける(たたく)」「フリルを縫い代に挟み込む」といった形で「装飾」としての扱いとなります。ギャザーフリルの他にも「フレアフリル」「タックフリル」、技法として「挟み込み」、「たたき」や「ふらし」生地の種類、使用量等で種類がとても豊富な装飾となりますので、後日別の記事において紹介できればと思います。今回は私も描くことが好きなギャザーフリルを取り上げていきたいと思います。では説明する上で知っておきたい用語が以下のとおりです。

 上のフリルはスカート裾等に表に「たたく」ギャザーフリルとなります。またギャザーを寄せる前の生地の形は長方形とします。今回の記事ではこのギャザーフリルの出来方を解説後、最後の方で描き方を紹介したいと思います。

ギャザーは均等に出ているか

 ギャザーを作る段階です。縫い糸が生地の表と裏を等間隔に行ったり来たりしています。

 この縫い糸をレールにしてカーテンの様に生地を寄せることが出来ます。

 この様に縫った間隔分の生地を寄せることで出来る小さな畝(うね)の集まりがギャザー、つまりギャザーフリルの根元となります。上の写真ではギャザーが広がろうとして既にフレアが出ています。

 ここで先述したポイントの一つ目「ギャザーは均等に出ているか」についてです。

 生地が等間隔で縫われたことにより、出来たギャザーの畝も均等であるということになります。縫製においてもですが、このギャザーが均等に出ていることが美しい仕上げになりますね!(手で寄せたりするとき気をつけないと畝の偏りが出たりするんですよね;)この均等に出ているギャザーを意識すると、フリルの全体の大きなうねりの間隔、そして「し」や「J」といったギャザーのシワの出方がわかってきます。

フレアが揃っているか

 実際に生地を寄せたギャザーが広がりフレアができていく様子がこちらです。

柔らかく薄い生地

 小さなうねりが次第に大きくなっていっている様子が伺えます。大きくなったうねりの大きさもリズム良くほぼ揃っています。

 ここでポイントの1つ、「フレアの出方が揃っているか」についてです。

 これは実際にフリルを作っていたことで感じたことですが、フレアの出方が大きかったり小さかったりが混在して偏りがあるとギャザーの寄せかたが均等でないことが多く、縫製が甘いと感じてしまうことがあるのです。ですのでギャザーは均等に、フレアの出方はリズム良くあると美しい仕上がりと感じるということになります。フレアの量が少なくても同様が良いでしょう。

 それでは次にギャザーからフレアが出来る様子を簡単なイラストを使用して説明いたします。

生地のストレス

 さてこちらは生地の縦繊維です。現在生地は平面に置かれおり一番ストレスのかかってない状態となっています。

 そこに等間隔で縫い糸が通ります。

 縦の繊維は縫い糸に沿って寄せられ前後に畝を作ります。

 そこで悲鳴を上げるのが横の繊維です。

生地を縦から見た図

 平面であった生地はギャザーを寄せる事によってストレスが溜まった状態になります。そこで細かく前後に畝となった縦方向左右から寄せられてバネのようになった横方向はどちらもストレスのない最初の「平面」に戻ろうとするのです。

畝の合流

 ギャザーを寄せられストレスのかかった最初の畝は、平面に戻ろうと隣の畝と前後に移動しながら合流し広がって次第に大きなうねりとなっていきます。この合流を1、2度繰り返したところで大きなうねりとなっていきフレアを作ることとなります。

「し」「J」のシワの長さ

 合流した畝のイラストを見ていただくとわかると思いますが、ギャザーフリルを描くときによく「し」や「J」といったシワの長さは、畝が合流して畝が膨らみきったところまでということがわかります。フリルの形を描いてからこのシワを入れる場合はフリルの幅が一番膨らんだところまでにしておくと形に説得力が増すことになると考えます。

フレアの端が細る

 観察したことで知ったことなのですが、これ以上畝が合流せず広がりが落ち着いたあとのフレアは畝が合流した直後以降で畝の幅が一旦細くなる現象が見られました。これは裏から来た畝が合流できたところで生地にかかるストレスが解消され、下へと離れる程横に広がろうとする力が減少していき、うねりの波がほぼ前後方向のみになり縦波に伸びるためだと思われます。

 さてギャザーの入り方、フレアの出方、シワの入り方を観察した上でギャザーの作画を行いたいと思います。こちらは長方形の生地をギャザーフリルとしてスカート裾などにつける場合とします。

ギャザーフリルの描き方

 今回の作図で出来上がるフリルがこちらです。続けて作図手順をご確認ください。

 まずはギャザーのガイドです。フリルを取り付けるラインに細かく等間隔にギャザーの幅印をつけていきます。

 次にどのくらい膨らむかの幅のガイドを作ります。このガイド内に「し」「J」のシワが収まります。

 そして出来上がりのフリルの出来上がり幅のガイドを描きます。

 ギャザーガイドのメモリを3つくらいごとにフリルの根元から膨らみガイドまでの台形を描きその下フリルの出来上がりまでのガイドを描きます。(膨らみ後に細くなる現象より逆の台形を描きました)

 「し」や「J」はフリル土台の中央部、フリル膨らみ内に収めて描きます。裏側のうねりにもギャザーガイドのしわを膨らみガイド内に描きます。フリル土台に沿ってフレアのシルエット線を描きます。シルエット線はかっちりフリル土台のガイドに合わせず参考にしながら可愛いと思える線に修正しながら描いて下さい。

 生地の厚み描写があると俄然説得力がアップしますよね!私も線を引くときによく迷子になるので下図の捉え方が参考になれば嬉しいです;

おまけ

 今回描き方の例として出したギャザーフリルですが元々は長方形の生地を使用したものです。そこでですが生地の裁断の仕方を変えるとどうフリルの形がどう変わるかをご紹介します!どうぞフリルの描きわけなどで参考にして下さい。

 用意した裁断の形は①カーブ②長方形、それぞれギャザー部分は60㎝を30㎝まで寄せたものとします。(2倍ギャザーを寄せると言ったりします)

 (ミスで裁断後と縫製後の順序が逆に写ってしまっています。申し訳ありません;)

フレアの出方に違いが見られる
①のうねりがより滑らか
①の方がギャザーが膨らみきるのが早い
ふわっと感は②ほうがある
あおりから見たフリル

 ちょっとした違いですが同じギャザーフリルでも裁断片の違いで印象も変わってくるので面白いですね!ちなみにカーブのギャザーフリルは長方形より部品費、工賃お高いです!!

あとがき

 いかがだったでしょうか。ギャザーフリルに関して少しでも解像度が上がったらとても嬉しいです。始めに書いた通り、フリルは多くの種類がありその描き方もそれぞれ違ってきます。イラストがより可愛く華やかになるためのお力になれるようにまたご紹介していきたいと思います。ここまで閲覧いただきありがとうございました。

服飾専門学校を出て10年、仕事や趣味ででミシンに座り続けて沢山の生地に触ってきました。その経験を活かしてイラスト添削サイト「sessa me」においてイラスト衣装専門として添削を受け付けております。「シワが上手く描けない」「服がどう動くかわからない」などイラスト内の衣装に関するお悩みありましたらどうぞご相談ください。